理事長所信

ニューフロンティア ~ひとり一人が、このまち開拓者たれ!~ 社会的な歪みを抱え、閉鎖感が漂う現在 こんな今だからこそ、この相模原から巻き起こす。 ニューフロンティアを希求する開拓者精神を…。
2018年度理事長 小山龍次

公益社団法人相模原青年会議所
2018年度 第53代理事長
小山 龍次

ニューフロンティア ~ひとり一人が、このまちの開拓者たれ!~

「今晩私はかつて最後のフロンティアであったところに向かって立っています…開拓者たちは身の安全も快適な生活も、時には自分の命さえも捨ててこの地に新しい世界を築くためにやって来たのです…今日ではこうした戦いは終わった…アメリカのフロンティアは無いと言う人がいるでしょう…問題はまだ解決していません。」

アメリカ合衆国第35代大統領 ジョン・F・ケネディ

はじめに

1960年、米国大統領に立候補したジョン・F・ケネディが民主党の予備選挙を勝ち抜き大統領候補指名受諾演説で提唱した「ニューフロンティア」の精神は未だに色あせる事なく、現代でも語り継がれています。かつて、この相模原の地は江戸時代には各地で新田開発が行われたものの、大半は水の乏しい広大な原野が広がる未開拓の地でありました。戦前には「軍都計画」と呼ばれる大規模な都市区画整理事業が行われ、富国強兵というフロンティアを目指した人々がこの地に集まり、陸軍士官学校を始め、数多くの軍事施設を建設しました。1945年の敗戦後、多くの軍事施設は米軍に接収されたものの、広大な相模野の台地は戦後の高度経済成長を支える新興工業都市に姿を変え、仕事を求めた多くの人々が豊かさというフロンティアを夢見て移住し、現代に続くこの相模原を築いたのです。

しかし、私たちの先輩方が築いてくれた今の何不自由の無い生活は、すべて開拓され尽くした社会の中にあるのでしょうか。確かに戦後の何も無かった時代から比べると、純粋に物質的な豊かさを追い求めたフロンティアは終焉を迎えつつあるのかもしれません。しかし、現在のわが国を取り巻く環境は混迷を深め、経済格差、貧困、少子高齢化、地方の衰退や教育の荒廃など多くの社会的な歪みを抱え、閉塞感が漂っています。

自らの住み暮らす地域を本気で考え、子どもたちへ明るい豊かな未来というバトンを渡すためにも、私たちJAYCEEがこれらの諸問題に目をつむり、現状の社会に安住している訳にはいきません。そんな今だからこそ、この相模原から我われ青年が巻き起こす、ニューフロンティアを希求する開拓者精神が必要とされているのです。

国際のニューフロンティア

2年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックの開催に、我がまち相模原はどんなチャンスを掴む事ができるでしょうか。

東京都の試算では、大会招致が決まった2013年から大会10年後の2030年までの18年間で約32兆3千億円の経済効果を見積もり、全国の雇用増加数は約194万人と算出しています。我われの運動でこの恩恵を少しでも多く相模原に還流させ、新たなフロンティアにしたい。我が国で53年ぶりに行われる夏季オリンピック・パラリンピックは、開催都市である東京だけで盛り上がるものではなく、世界平和を目的とするオリンピック精神に則り我が国の国威とプライドをかけて、この相模原でも世界中の人々におもてなしの心を持ってお迎えする絶好の機会でもあります。

2017年6月、日本オリンピック委員会、相模原市、ブラジルオリンピック委員会の三者にて、この相模原市をブラジルチームのための事前キャンプ地とする覚書の締結式が行われました。これを契機にブラジルとの新しい国際交流の芽を育む事ができるかもしれません。さらに、ブラジル以外にもこの相模原を事前キャンプ地として興味を示している国々や、実際の競技会場として検討しているケースがあるかもしれません。そのような、相模原に対しての隠れたニーズを掘り起こしたい。さらに、世界中のアスリートのみならず今後も外国人観光客の増加が見込まれ、あらゆるレガシーが残るこの大会の開催をきっかけに、相模原市がさらに国際化をしていくための運動を展開してまいります。また、今年も相模原市長をお招きし、地域の国際化に向けた運動と2年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックについて意見交換をしてまいります。

2016年のイギリスによるEU離脱や2017年アメリカ合衆国のトランプ大統領就任で、世界はグローバリズムを捨て、自国第一主義に向かってはいないでしょうか。世界との友情を掲げ、世界平和を究極の目的とする国際青年会議所の精神を持つ私たちJAYCEEが、グローバリズムの可能性に疑いを持ってはいないでしょうか。インターネットによる情報発信は瞬時に世界中を駆け巡り、あらゆる製品が世界中の工場で生産されている今の世の中では、グローバリズムを否定する事は不可能であり、今後もより速い勢いで国際化の流れが進展していくと考えられます。そんな時にこそ、我われJAYCEEが真の国際化を目指し世界中のメンバーと絆を深め、積極的な民間外交を展開していかなければなりません。青年会議所によるアジア・太平洋エリア会議(ASPAC)や世界会議に参加する事はもちろん、姉妹JCである(社)釜山海雲台青年会議所とのビジネス交流の可能性、新たな友好LOMの模索、そして、相模原市に在住する多くの外国人と文化の多様性を認め合う、和の精神を持った交流を深めていきたいと考えています。

JR相模原駅から矢部駅間に隣接する相模総合補給廠の土地は一部が返還されたものの、未だ約200ヘクタールが米軍に接収されたままであり、小田急相模原駅の北西には約60ヘクタールにも及ぶ米軍住宅があります。このように多くの在日米軍の人々が私たちの周囲にいる環境を、角度を変えて、国際交流の舞台と考える事はできないでしょうか。戦後から相模原市民にとって、在日米軍の存在は目をつむるべき、言わばタブー視されてきた存在ではなかったでしょうか。座間キャンプや米海軍横須賀基地などの神奈川県内の米軍施設のあるまちには、地元市民と在日米軍が交流するイベントが開催されており、地域の観光資源となりつつあります。未だに基地問題には多くの問題はあるものの、基地がある環境を活かしたまちづくりを提案できるのは、私たち相模原青年会議所であり、我われが積極的に交流しつながりを作っていく事は民間外交の礎となっていくはずです。

2012年のデータでは、相模原市の外国人登録者数は約1万人であり、2014年度では約1万800人に増加しています。他国で生まれ育った人々は私たちとは違う文化や風習を持ち、まちづくりに対して新しいアイデアを持っているかもしれません。そんな貴重なつながりを社会関係資本として磨き上げ、協働する事で、相模原市に住む外国人に対してもこのまちを第二のふるさとに感じてもらえるような運動を展開したいと思います。昨今の低年齢化する英語教育だけで、真に外国人と対等に会話し議論できる人材が育つでしょうか。大人たちは、外国語教育を子どもたちだけに押し付けてはいないでしょうか。この地で民間外交が盛んになり、地域の大人たちが堂々と積極的に交流していく背中を子どもたちに見せる事が、本当の体験を通じた外国語教育であり、真のグローバリズムの習得になるのではないでしょうか。そんなところに、このまちの国際化のニューフロンティアが眠っているのです。

教育のニューフロンティア

教育問題の中でいつの時代も取り上げられるのはいじめの問題です。昨今、東日本大震災による原発事故で、故郷を離れて暮らしている児童に対してのいじめが社会問題となりました。なぜ、同じ同胞に対してこのような事が出来るのだろうか。どうして、心から困っている仲間に対して、このような仕打ちをする事が出来るのだろうか。日本人の心の荒廃はここまで進んでしまったのだろうか。私は憤りと悲しさで胸が張り裂けそうになりました。そんないじめに悩む子どもたちが学校や家庭以外の相談先を求めてはいないだろうか。また、昨今の子どもの貧困問題から生じる教育の格差により学校の勉強についていく事ができず、学習塾にも通えずに悩んでいる子どもたちはいないだろうか。そんな子どもたちの声なき叫びに応えられる教室を我われで作り上げていきたい。

2018年度より道徳が正式な教科として、教育現場にて段階的に実施されます。しかし、それが青年会議所として長年求めてきたゴールではありません。道徳は学校の授業と教科書から学ぶ事では十分とは言えないのです。親や地域の大人が子どもと道徳の教科について共に語り合うことが大切です。私の考える道徳の教科とは日本人固有の美徳から生まれる、日本人としての国民性や地域性、豊かな自然と歴史文化から育まれたものです。

道徳教育には様々な意見があり、その賛否の意見も未だ絶える事がありません。唯一、確かに言えることは、戦前の教育を受けたであろう我われ祖父母の世代が年々いなくなり、地域の文化や歴史を知る語り部が減少している事です。戦前教育の大きな特徴は、道徳教育が重視されていた事でした。修身科と呼ばれる道徳授業の中で、自分よりも他人を、個よりも公を、身も心も鍛えて親孝行を、というあたりまえの事を学校教育の場で教えていました。そのような全体主義的な考えや教育が軍国主義につながり、あの不幸な戦争を招いたのだという説がありますが、果たしてそうなのでしょうか。

大切な人を守る事、公のために尽くす事は戦争を肯定する考え方なのでしょうか。私たちには先の大戦を経験した世代の祖父母がいて、当時の話や明治以降の近現代史を訪ねれば、いつでも聞かせてくれる環境がありました。翻って、私たちの子どもや青少年たちの周囲に、戦前の道徳教科や地域の文化、歴史を語れる人物はいるでしょうか。先の戦争では、まだ見ぬ子々孫々のために尊い命を犠牲にして国の為に散っていった213万3915柱のご英霊たちがいました。激しい時代の中で多くの戦友や家族を失い、生き残った先輩達の精神的な支柱となったのは利己主義ではなく、自らを犠牲にしてでも人の役に立つという、戦前の道徳教育ではなかったのでしょうか。

私たちの祖父母、そして利他の精神を家庭で学んだ私たちの親世代は奇跡的な戦後復興を成し遂げ、高度経済成長を経て現在の経済大国を築いてくれました。教育は国家百年の計と言います。戦後72年目となる戦後教育の、責任よりも自由を、義務よりも権利を、公よりも人権を、という考え方は社会に数々の歪みを生み出しています。それらの問題を解決するために、私たち責任世代の大人が、かつての祖父母たちのように地域の文化や歴史、そして道徳を語れるような大人になる事が大切です。さらに、相模原青年会議所がもつ地域性に合った道徳教育プログラムを引き継ぎ、私たちの作る地域の教室により広く伝播させながら、今の世に生かされている喜び、この地域と国に生まれて良かったという気持ちを育みます。

青少年の教育と言いながら、あらゆる教科を子ども達だけに押し付けてはいないでしょうか。他を慮る道徳教育、我が国の神話から学ぶ国史教育、政治や選挙を学ぶ主権者教育を親が理解し、我が子に伝える事ができるでしょうか。まず自ら学び体験し、それを家庭や地域に持ち帰り、伝えて話し合える環境や仕組みを作りたい。そのような中で、私たち青年会議所メンバーを始めとする責任世代の大人たちは率先して地域で声を掛け合い、子どもを見つけたら優しく見守る存在となるような“親力”を実践し鍛えなければなりません。

教育に絶対の正解はありませんが、目指すべき目的はあります。それは「自立」であると思います。未来を担う子どもたちに自ら考え、決定し、行動してほしい。様々な違いを受け入れる寛容性を持って、人の役に立ってもらいたい。この考えの基礎さえしっかりとしたものであれば、その土台の上にあらゆる教養を育む事ができます。今後は人工知能が進化し、あらゆるものが人の手から、ロボットに置き換えられる世の中になると予想されています。そのような時代になっても、機械を動かすのは教育を受けた人間であり、道徳心を育み、共感力、感謝力、楽観力の強い人間が、どんな時代でも本当の意味で豊かな人生を歩む事ができるのです。

30年以内に70%の確率で発災、首都圏の死者最大2万3千人、被害額220兆3千億円、相模原市でも震度5~6と予測されている南海トラフ地震や土砂崩れにより集落を壊滅させてしまうような集中豪雨に対して、我われは備えを怠ってはいないでしょうか。突然起こるであろう災害に、愛する家族や従業員そして私たち青年会議所メンバーの安否を迅速に確認し合える仕組みと、その教育が整っているでしょうか。自らの地域で災害が発災した際に、一番頼りになるのは平時の時から統率された集団であり、機動的に組織化された団体です。それはまさに我われ青年会議所であり、必要とされるのは地域のリーダーたらんとする我われJAYCEEの存在なのです。

他団体との災害時協定も大切ですが、それが名前だけの関係ではなくいつでも有機的に機能できる関係でなくてはなりません。そのためには、お互いに助け合える団体と緊密に連携できるような体制づくりと平素からの信頼関係の構築が必要です。また、私たち一人ひとりが日頃から防災・減災について学び備えれば、行政と連携し、助けが必要な人と支援したい人をつなぐような組織になる事が出来るはずです。相模原市には都市型災害や山林火災、土砂災害等、広範囲な地域によるさまざまな種類の災害が予測されます。平素から共助の考え方と地域コミュニティの重要性を広く伝えていく運動を展開してまいります。

詐欺や地域の防犯に対しても私たちが考え、解決すべき問題があります。自ら住み暮らす地域で私たち自身が近所の方と挨拶をし合い、日頃から地域とのコミュニケーションが活発になっていれば、犯罪から守られるまちにつながります。また、約200名の相模原青年会議所メンバーの有機的なつながりを活かして、一人ひとりが地域を見守る存在になるような運動を推進し、一件でも犯罪が減るようなまちにしたい。そして、最新の犯罪傾向を学びそれを防ぐ手立てを我われで考えて実行していきたい。市内でも至る所に監視カメラが設置されている世の中ですが、地域の大人が声を掛け合い、助け合い、お互いを認識し合うことで、犯罪を防ぐ地域コミュニティが形成されていきます。防災・防犯に対しても大人が自ら学び、家庭や地域教育として子どもたちに伝えていくこと、多様な立場や領域の人や組織が連携して子どもと向き合うことで、「教育」のニューフロンティアを創造する事ができるのです。

経済のニューフロンティア

我がまち、相模原にはリニア中央新幹線の新駅建設、米軍相模総合補給廠の一部返還、小田急多摩線の延伸、圏央道全線開通など、さらなる発展のためのニューフロンティアが広がっています。しかし、建物や道路等のハード面の発展は見込まれるものの、それを受け入れて活用するソフト面(市民の気持ち)は盛り上がってきているのでしょうか。戦後最大の相模原市発展のチャンスを私たちは経済的に支え、享受し、より成長させていく事ができるでしょうか。多くの希望があるのに近所の商店はシャッターを降ろし、駅前は閑散とし、地元経済は衰退に向かっていないでしょうか。

経済はヒト・モノ・カネであり、まず一番大切なヒトがいなければ何も始まりません。この相模原にまずは多くの人が訪れる政策を立案し、実行してまいります。中でも、相模原市には観光需要という未だ手つかずのフロンティアがあり、まだまだ隠れた観光スポットや名産品があるはずであり、無ければ新たに生み出す事ができます。

アメリカの未来学者、ハーマン・カーンは「観光業は21世紀に世界最大の産業になる」と予言し、事実、観光産業は2010年以降に世界のGDPの12%以上に達するまでに成長を遂げています。相模原には、その成長性と訪日外国人旅行者(インバウンド)を積極的に取り込むことができるポテンシャルがあるはずです。例えば、映画やアニメの舞台となるような「聖地」に相応しい名所や数多くの町工場やユニークな企業、学校、施設等、私たちが普段何気なく生活している中にも、実は隠れた観光資源となる原石が眠っているかもしれません。さらに、この相模原で単に物品を購入してもらうモノ消費だけではなく、モノからコトへの消費を促す体験型の相模原ツアーの可能性を探りたい。そうする事で、このまちを訪れた人々からまた相模原に行ってみたいという気持ちが芽生え、日本だけではなく、世界から「選ばれるまち」を創造する事が出来るのです。

米軍相模総合補給廠が一部返還された土地に建設された道路や、圏央道のインターチェンジ等、新たな交通の要衝を我われは知り、その利便性を本当に理解しているでしょうか。インフラの建設はまちの発展の礎であり、それらを存分に活用する新たな相模原の未来予想図を探りたい。バブル崩壊後の不況期に就職時期を迎えた「就職氷河期世代」と呼ばれる私たちですが、近年の数々の大企業の栄枯盛衰を見てきた事で、もはや個人や企業の利益追求を目的とすることだけで各々が満たされる時代ではなくなってきていると実感しています。

利益至上主義ではなく、「目に見えないモノ」を大切にする価値観の醸成はまさに私たちの一生の財産となるべきものではないでしょうか。どんな仕事であれ本業を通した社会貢献活動があり、目先の利益を追い求める近視眼的な物の見方ではなく、「世のため、人のためが自分のため」という中長期的な視野に立ってみる事で、明るい豊かな社会の実現を目指していく考え方に共鳴する事ができるはずです。物質的な豊かさを当たり前のように享受してきた私たち世代、そして瞬時に情報を拡散し、シェアリングエコノミーにも抵抗なく受け入れることができる若年世代にも、本業を通じた社会貢献活動はあらゆる世代に共感を得て、これからの洗練された生き方を大人が子どもに示すことが出来るのです。

今後の未来を担う、成長著しい人工知能やロボットの開発、シェアビジネスに対して私たち青年会議所がアクションを起こせる事はないでしょうか。国や企業側からの視点ではなく、市民側の目線に立って技術開発への理解や促進、規制の緩和、戦略特区活用の可能性を探っていきたい。例えば、自動運転自動車の開発に際しての実証実験に理解のあるまちづくりやロボットが身近に感じられるまち、ドローンが警備や物流を担うまち、シェアビジネスやその規制の緩和に理解のあるまち等、今後の人手不足を生産性の向上でカバーして経済発展の起爆剤とするような、人と人工知能が共生できるニューフロンティアを創造したい。

人財のニューフロンティア

青年会議所とは20歳から40歳までの青年が集まり、社会にインパクトを起こす運動体である一方、組織をまとめて動かす事を大変効率良く学べる団体です。リーダーとしてメンバーにやる気を持って動いてもらう動機の源泉となるのは、リーダーが自身の人生から培ってきた人間力であり、自ら経験した失敗と成功に他なりません。

一人で起こす行動より、大きな集合体となった力は社会により大きなインパクトを起こす事ができます。しかし、時として私たちの日頃の運動は、JCのためのJC活動になってはいないでしょうか。既成概念に拘る事なく、お気に入りの服を何度も着るように、気に入った仕事道具を何度も使うように、相模原青年会議所に入会してくれたメンバーには、この組織を理想のまちを作りあげるツールとして大いに工夫し、利用して、使い倒してもらいたい。そのための基礎となるべく、JCIトレーニングコースや日本JC公式プログラムを大いに活用してメンバーに学びの機会を提供いたします。

そして、豊富な研修で内なる力を磨き、それをアウトプットしていくためには渉外事業への参加も欠かせません。どちらか一方が欠けては、利他の心で共鳴するJAYCEEとして成長することは出来ないのです。渉外事業に参加するには、普段の生活の中でも数々のハードルがあるかもしれません。しかし、受け入れる側として、多くを学んでもらいたいという最高のおもてなしの心で待っている同志の熱い思いに応えるためには、「まずは参加してみる」という心意気が必要ではないでしょうか。

本年は例年のアカデミー委員会を2つに分け、入会直後から研修と渉外事業を担ってもらい、LOMの最前線で活躍をして頂きます。また、2つの委員会が互いに切磋琢磨することで、各々がJAYCEEとしての学びを加速させ、例会出席率の向上に対しても互いに刺激し合えるような好循環を展開いたします。

青年会議所には、40歳で卒業という鉄の掟があります。どんなに嫌いでも、どんなに好きでも時が来たらこの団体を去らなければなりません。今年も、卒業していくメンバーがJCという名の学び舎に誇りを持ち、学んだ全てを現役メンバーに継承し、それぞれの地域や業界に巣立っていく姿が思い描ける卒業例会を構築いたします。毎年、多くのメンバーが卒業していきます。青年会議所とは、卒業生の分、またはそれ以上の新入会員が入ってこなければ、いずれ消滅してしまう団体なのです。だからこそ、私たちは会員拡大をし続けねばならない宿命を負っています。

まちの事を一人でも多くの人が思っていれば、そのまちはきっと良いまちになります。メンバー全員が同世代にJCの入会を勧め、他者を巻き込みながら突き進む豪傑となるべく、経験値と説得力を持ち合わせた会員の育成をしてまいります。また、女性会員と在留外国人の拡大に関しても広く視野を広げなければなりません。近年、様々な業界においてダイバーシティ(多様性)というキーワードが掲げられています。世界的に見ればダイバーシティに関する問題は人種、言語、宗教などかなり幅広い分野を包括するものです。しかし、青年会議所でやはり中心となるのは女性の会員数と多国籍な仲間であると思います。多様性を持った組織はしなやかで強く、新たな価値創造を生み出すと言われています。

私たちはこの相模原に、まだ見ぬフロンティアのようにJCの入会を待ち望んでいる同志たちを開拓すべく、多様性を持った拡大活動に邁進してまいります。青年会議所でいう出向を例えて言うならば港を出ていく「出港」であり、次年度の予定者段階で多くの食料や荷物を船に積み込み、新年度が始まると共にその船はブロック、地区、日本、そして世界という大海原に向けて航海を始めます。途中、大荒れの海の中で座礁や転覆の危機を乗り越えながらも、12月には多くの財宝という名の人脈と経験値を積み込んで航海者(出向者)はこの相模原の地に戻ってきます。

私自身も出向で多くを学ばせて頂きました。それぞれの出向の場面で、社会に運動を巻き起こす難しさとその醍醐味、そして仲間の大切さを実感しました。相模原青年会議所では一人でも多くのメンバーに出向を経験してもらいたい。そして、出向するメンバー全員が相模原を代表する航海士であるという気概を持って大海原に広がるフロンティアを目指してもらいたいと思います。

青年会議所として各種の大会を誘致する事もまた、まだ見ぬフロンティアを開拓するような挑戦心が求められます。2015年、第43回神奈川ブロック大会を誘致し成功させた私たちがより大きな大会誘致を目指すために必要なのは、メンバー間の結束の強さと新しい事に挑戦していく気概です。大会を誘致する事は、自ら住み暮らす地域の誇り、シビックプライド、そして自己の成長に気づく事ができます。さらに、この愛する相模原を市の内外に発信できる素晴らしい機会となります。いつでも各種の大会を誘致し、開催できる組織としての体力づくりと体制の構築を、今年度も推進してまいります。

組織のニューフロンティア

相模原青年会議所という組織は広く市民に知られ、慕われているだろうか。いくら良い活動をしていても、市民や行政、そして市外の人々に周知されなければ我われの運動の効果は半減してしまうはずです。幸い、昨今のテクノロジーの発達により、メディアに頼らずともSNS等のツールで個人や団体でも広く各々のメッセージを発信できる時代となりました。また、若年世代の情報収集はまずはスマートフォンからのウェブ検索や動画サイト、そして友人間のSNSと言われています。あらゆる世代に我われの運動が発信できるよう、既存のホームページやサポーターズメール、SNSサイトを見直し、より洗練され、JCとしてのブランド価値が高まるような広報を展開してまいります。

さらに、メディアへの効果的な発信方法も新たな広報のフロンティアとして開拓をしてまいります。我われの運動を下支えし、ブランドの価値向上につながるのは厳格な組織運営にあります。青年会議所の魅力の一つは、その厳しさにあると考えます。セレモニーの厳粛さ、理事会の緊張感、準備する備品の数々は私たちのすべての学びに繋がり、メンバーそれぞれの会社に持ち帰り企業経営に生かす事が出来ます。また、公益法人としてコンプライアンスを順守する事はもちろんですが、公益法人格を取得して7年目を迎えた相模原青年会議所が今後、私たちの巻き起こす運動の中でどのような法人格でいる事が最適なのか調査と検証をすることで、組織運営に対してメンバーの意識と行動をより能動的なものに変革してまいります。

また、メンバーから預かる貴重な年会費は、明るい豊かな社会を創造するための投資であると考えます。理事会はその取締役会としてコンプライアンスの順守はもちろん、より透明性を持った形で運営し、メンバーへ「目に見えない価値」という最大限のリターンを約束しなければなりません。財務運営に対しても、賛助企業との継続的な契約と新規企業を拡大し、青年会議所と企業との新たなつながりを模索し、外部収益による財源を確保してまいります。また、収益拡大を図るために賛助企業ブースの検証や管理をしていきます。

私たちの運動の発信ツールとなる例会や事業の根幹となるものは、やはり議案です。今年度も議案審査会議を設置し、理事会上程前には厳しい審査を行い、より精査された議案を元に活発な議論を行いたいと考えています。審査する側は、最初から最後までそれぞれの事業の構築に関わる事で、その運動を見届けて、担当委員会と共に成功体験と感動を共有してもらいたいと思います。そして、今年度も理事選挙とそれに伴う公開演説会を行い、メンバー自らがリーダーとして成長するための機会の提供を行います。理事選挙に関しては、投票する仕組みに関して新たな工夫を取り入れていきたいと考えています。さらに、200名LOMに相応しい組織として、今年度もセクレタリーの仕組みを維持し、LOMの枠を越えた多くの学びの機会を提供いたします。議案審査会議で内なる力を醸成し、セクレタリー制度で対外的にも強いLOMとして認識される事で、組織としてのニューフロンティアを開拓してまいります。

最後に

2016年8月8日、天皇陛下自らによる「おことば」が国民に向けて発せられました。それは、平成という時代の「終わりの始まり」でした。国民の付託を受けた政府は、天皇陛下のご譲位に向けて即座に動き出し、一代限りの特別措置法で約200年振りに生前退位が実現する方向で動いています。よって、平成は31年の3月で終わり、同年4月からは新しい元号になると言われています。

平成最後を総括すべき2018年、私たちは新しい時代を迎えるにあたり、平成という御代をどのような節目として、次の時代に進んで行くべきなのでしょうか。平成と共に育った私たちの世代には、自らを振り返りこれからの混沌とした未来に向けて、いま一度立ち止まって考える必要があるのかもしれません。バブル崩壊による長期の景気低迷から、ロストジェネレーション(失われた世代)とも呼ばれた私たちの世代ですが、いつだって今を一所懸命に生きてきた私たちにとって、失われた時間などひとつもありません。いつの時代も先頭を走り、現場で戦っていくのは私たち青年です。

私が相模原という故郷を思う時、子どもの頃に親からもらったこづかいを握りしめて出かけた桜まつり、父親の肩に乗せられて地元のお神輿を誇らしげに眺めた上溝夏祭り、鯉のぼりや花火の上がる相模川など、数多くの心象風景が思い浮かびます。そして、私がそんな行事を楽しんでいた裏側には多くの人々が伝統を引き継ぎ、歴史を紡いでくれていました。毎年、自分が楽しみにしていた故郷の行事は多くの地元の人たちによって支えられていたのです。そんな事に気づかされたのも、常に裏方として、積極的に他者の礎となって貢献する青年会議所に入会してからでした。

故郷の思い出をこれからも子どもたちに伝えていくために、素晴らしい相模原という地域をもっともっと知ってもらうために、私たちもこの託されたバトンを次世代に引き継ぐ義務があるはずです。昔の先輩が智恵を出したように、親が導いてくれたように、私たちも子どもたちのために、先人が流した以上の汗を流そうではありませんか。そして、この相模原にはまだ見ぬ数多くのフロンティアが眠っています。今こそ、私たちの心の中にある開拓者精神を呼び起こし、一人ひとりがこのまちのニューフロンティアを目指して立ち上がりましょう。