提言書

中高生を中心とする青年問題に関する調査研究と提言

〜普通の大人に出来ること〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2001年度 ()相模原青年会議所

青年問題協議委員会

中高生を中心とする青年問題に関する提言書

 

 

提言

 

私たち相模原市民は、青年たちが内包する問題はすべからく大人の責任であると認識し、地域の、日本の未来を担うたくましい青年の育成と、地域環境の整備の責を負う大人として、家庭・地域・専門機関が三位一体となって連携し、中高生を中心とする青年が引き起こす、様々な問題に対する具体的な働きかけを協議検討できる組織を早急に形成し、相互に援助・協力しながら、具体的改善行動を起こすべきである。(大人包囲網の構築)

 

地域の未来、ひいては日本の未来を担う青年に対して、育成責任があるのはまず第一義的に家庭であることは間違いありません。しかし、青年の育成上、社会性・公益性を習得するためには地域、または、学校・行政・専門家(カウンセラー等)との連携・協力は不可欠であります。

また、私たちの問題であるこの青年問題は、市民主導型で携わっていかなくては効果があがりません。

家庭・地域・専門機関は連携を取り合い、青年問題に対し、誰がどのような行動を取るのが一番効果的であり、迅速且つ効率的に働きかけを行うことが出来るのか、個で検討するのではなく、公で検討協議する市民組織を形成し、連携しながら、具体的な改善のための働きかけを実行に移していくべきであります。

当提言書における青年の定義について:当提言書におきましては、対象を明確に絞り込むために「青少年」という一つの分類を、「青年」と「少年」とに意図的に分け、「少年」を小学生以下・「青年」を中高生を中心とする年代と定義し、「青年」について、より具体的な調査・提言を実施することにいたしました。(法律的分類の際には法律用語のまま表記してあります)

 

 

 

 

社)相模原青年会議所 行動指針

 

(社)相模原青年会議所は、普遍的に続くこの青年問題に対して

地域を構成する大人として、市民と共に継続的な働きかけを実行できるような組織作りを模索・研究し、平成14年度より(社)相模原青年会議所が中心となって他の団体や市民に対して積極的な働きかけを行い、大人包囲網構築の実現に向けた活動を推進するべきである。

 

青年会議所という会議体を考えるときに、単年度制という仕組みの長所・短所に触れながら活動していかなくてはいけません。

本年、青年問題を一年間調査・研究した結果、この普遍的に続く問題に対して、(社)相模原青年会議所は青年会議所・もしくは単年度という枠を超越して継続的に活動できる組織を作る必要性を強く感じました。また、決して青年会議所がイニシアチブを取って運営をするなどという類のものではなく、きっかけづくりは青年会議所であったとしても、その後の運営はあくまで、地域の大人の方たち、市民の方々と共に行い、支援していく事が、地域に広く影響を広めるためには肝要であり、また、この地域に広く活動の波を広げること、つまり市民ネットワークを機能させる事が青年問題に取り組む最重要骨子であると考え、行動指針といたします。

 

 

 

 

 

はじめに

 

昨今、叫ばれる中学生や高校生の年代の若者による凶悪犯罪の増加は、一つの大きな社会問題として捉えられております。

この問題は、決して対岸の火ではありません。

私たちが住み暮らす相模原においても同様の問題が起こる可能性がないとはいえません。

また、私たちの子どもが育ち、成長していくこの相模原にそのような問題がもし発生しているのであれば私たち地域の普通の大人は、なにかしらの改善を実施していく責任があります。

 

私たち青年会議所の運動は明るい豊かな社会の実現にあります。

その実現の為には、地域で安心して暮らせる社会の構築や、青少年の健全育成は必須要素となってきます。

そこで、2001年度(社)相模原青年会議所では、現状の相模原の青年問題の実態を調査・分析し、その結果を踏まえて、青年会議所として何が出来るのか、また、私たち地域の普通の大人がどのような具体的な働きかけを行う事ができるのか協議・検討することに致しました。

また、対象を明確に絞り込む為に青年と少年という分類を意図的に行うことによって、中高生を中心とした10代前半から後半までの「青年」に対しての具体的な調査・提言を実施することに致しました。

そして、一年間の調査・研究をふまえ(社)相模原青年会議所として見出した、この青年問題に対する地域の普通の大人の取り組み方を「提言書」という形を通し広く発表させていただこうと考えました。

また併せて、私たち(社)相模原青年会議所としてどのようにこの問題に携わっていくべきであるのか研究し、行動指針としてこの提言書内に示そうと考えました。

 

地域の青年が抱える問題を、青年会議所なりに調査・研究し提言を行うことによって、地域に貢献することが出来、ひいては、まちづくりの一助になることが出来れば幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

第一章    青年問題とは

第一節      青年問題の区分

まず、私たちはいわゆる青年問題といわれる各事例の分類からはじめてみました。

警察庁のまとめによる「犯罪」を参考資料とさせていただき、大きく5つに分類してみました。         

 

 

触法少年

14歳未満で刑罰法規に触れる行為を行った少年をさします。

平成7年には、全国で22883件発生し、神奈川県内では1017件発生、補導されておりましたが、平成11年の調査では全国での発生件数が22503件と約300件減少したにもかかわらず、神奈川県内においては1051件の発生と平成7年に比べ約30件の増加を示しております。小学生・中学生の総数が減少していく中で、この数字をどのように受けとめていけばいいのでしょうか?

 (共に警察庁刊行:「犯罪」平成7年版・平成11年版による)

 

犯罪少年

14歳以上20歳未満の犯罪を起こした少年をさします。この中には昨今マスコミ等を賑わせた、17歳問題や、中高生を中心とする凶悪犯罪といわれる殺人・強盗・強姦・放火が含まれ、全国的に増加傾向にあります。また、犯罪者数だけを取り上げますと、減少している年もあるのですが、年々少子化が進む現状では少年の世代の人数の総数に対して、犯罪を起こした少年の総数を対比してみなくては実状が把握できません。

つまり、分母が減少しているのですがら、分子は減少することは当たり前であり、そのパーセンテージを把握しなくては、正確な実状が把握できないと言うことです。

ここで、2001年度(社)相模原青年会議所 青年問題協議委員会が、独自に統計を組み合わせた資料があります。これによれば、犯罪少年の実数は減っている年もありますが、パーセンテージで見ますと、増加の一途をたどっております。

人によっては、「マスコミが騒ぎすぎているだけで、実際は昔から青年の引き起こす犯罪は多々あったんだ」などと、認識の甘いことを言う人もおりますが、実際に青年問題は深刻に増加していっているのです。次ページ【資料:1】

 

 

 

 

 

 

【資料:1】 全国少年総数と刑法犯少年総数の対比(少年総数:刑法犯総数)

 

科目

平成2年

平成7年

平成11年

全国

全国 刑法犯罪数

154,168

126,249

141,721

全国少年総人口

12,007,087

9,557,958

9,097,023

少年総人口に占める少年犯罪の割合

1.28%

1.32%

1.56%

参照

:平成2年・7年・11年国勢調査報告「人口」

 

※凶悪犯罪・・・強盗・強姦・放火・殺人

 

:警察庁刊行 「犯罪」平成2年・7年・11年度版

※少年・・・・・・・14歳から20歳未満の男女

 

:神奈川県警相模原警察署少年犯罪統計

 

青年問題協議委員会 調べ

 

:相模原市 企画部情報システム課統計室

 

 

   

 

ぐ犯少年

現在は刑罰法規に触れる行為はしていなくても、いずれは犯罪を起こす、刑罰法規に触れる行為をする恐れがある少年のこと。たとえば、家出を繰り返して暴力団事務所に寝泊りしている少年や、家出をして暴走族の構成員と寝泊りしている少女などをさします。

 

幼児虐待

  先般、新聞発表にもありましたとおり、重大な犯罪を起こす青年の80%は幼少期に虐待に遭った経験があります。(少年院収監者の統計による:警察庁発表)

つまり、青年が引き起こす犯罪の一つの大きな要因となっているのが、今回の統計で「幼児虐待」にあるとおおよそ根拠付けされたわけです。

今回の調査研究の過程の中では、少年(小学生以下)の件については触れておりませんが、青年が引き起こす問題の根本原因をなしていると推察される幼児虐待についても今後、調査研究をしていく必要があると認識しておくべきです。

この幼児虐待の背景は大変複雑であり一概に問題点を指摘することは出来ませんが、子どもに愛情を抱けない大人(育児放棄・無関心・過干渉・放任)、また、近年増加する一人親家族・離婚者数の増加・再婚の増加など、ほとんどは大人たちが作り出す要因によるものです。

大人の責任・大人としての価値観・モラルの欠如による幼児の不遇時代の幕開けといっても過言ではないと考えます。

 

 

その他 いじめ・不登校・ひきこもり

  社会問題となったいじめを始めとする、刑事事件としては数字上に表せない問題です。いじめは統計上は減っています。しかしながら、それが発端ではないかと推測される不登校は統計を取り始めて以来増加し続け、今年も最高値をつけることが予想されています。

また、因果関係にあると思われるひきこもり・不登校も増加しつつあり、記憶に新しい重大事件の要因にも挙げられるこれら事例は、今後私たちが着目して改善にあたらなければならない問題であると考えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二節        青年を囲む小社会(コミュニティ)について

 

  前節では青年問題の分類を取り上げました。

  この節では、青年を取り巻く各コミュニティ(集合体)の果たす役割・責任について考証していきたいと思います。

    

家庭

子どもたちを取り巻くコミュニティの中で、もっとも身近で、小さいコミュニティが家庭です。

この家庭が子どもたちの育成に果たす役割は果てしなく大きく、子どもたちの価値観・倫理観・人生観など、成人してからの行動規範に大きく影響を与える各種の観念は大方、家庭内で築かれます。

いわば家庭は子どもたちが幼少期から少年期・青年期を通して親・兄弟・親族といったコミュニティを通して人間形成をする場所であるのです。

そこに今、何らかの問題点はないでしょうか?

 

地域

従来、日本は島国という利点もあり、近隣地域の住民のつながりは非常に強く、地域ぐるみで子どもを育てる、または教育する「地域教育」を古くから行ってきました。「向こう三軒両隣」「隣組」などは地域の協力関係を表す言葉として使われてきました。この様に、各種表現が残っているのはその名残でしょう。そのような関係の中で、地域の青年に接する機会も多々あったことだと思います。  

しかしながら、近年の核家族化や居住施設の変化などにより、地域のつながりは年々薄れている傾向にあります。

地域の関係が希薄になりつつある今、子育てを地域ぐるみで行うということには無理があるのでしょうか?

 

学校

戦前の尋常小学校の頃の話を聞くと、「先生が精神注入棒をもって悪いことをすると飛び上がらんばかりにお尻を叩かれた・・」なんて話を聞きます。

まだ数年前までは、学校の先生は怖いものであり、悪いことをするとしかられるという恐怖心と、先生に対する畏敬の念がありました。

また、部活動を通して勉学以外での目標達成意識の高揚や、先輩・後輩のような人間関係を数多く学ぶ場でもありました。

しかしここ数年、先生の体罰に対する考え方と保護者の見解の相違から発する問題・先生自身の不祥事等がマスメディアを通して大きく報じられ、先生という立場・価値観・が大きく変わってきました。

戦前から戦後にかけて、学校は勉学は当然のことながら、人間教育まで含む総合教育の場としての認識がありました。

現在でも総合教育の場として学校は位置付けられております。しかし、その取り組み方には多少の相違が見られるようです。

学校はあくまで勉学を教える場であり、反社会的行動を取る生徒に対しては積極的な働きかけを行うより、それら問題のある生徒は専門家に対処してもらうというのが最近の考え方のようです。

つまり、昔のように、いわゆる不良を教育指導室に呼び出して、先生方が諭すというよりは、一線をこえた生徒、(校内にて暴力を行使する生徒や薬物乱用・喫煙・飲酒を行う生徒。悪質な授業妨害など)は周囲の生徒への影響を考えて、昔のように先生方が積極的に働きかけを行う事はしなくなってきているのです。

これは、至極当然のことであり、社会的規範を守れるように教育していく一番の責任は家庭、特に親にあり、それを今まで学校に頼ってきていたこと自体が間違いだったのではないかと考えるのです。

また、学校に頼るには地域の学校に対する理解・協力が不可欠でしたが、地域の人間関係が希薄になってきている現在では、学校だけが孤軍奮闘しても子どもたちに及ぼせる人間形成的な影響力は限られています。

もしそれを期待するのであれば、家庭をはじめとする地域の小社会がもっと学校運営に協力をしていかなくてはいけません。

 

以上のように、青年を取り巻くおもなコミュニティの責任と役割を考証してみましたが、やはり、青年に対する健全な教育をすべき場所はまずは家庭であり、それから地域、そしてそれらの協力のもと、成り立つ学校教育であると結論付けられるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二章 相模原市内の青年問題の現状

 

ここまでは、青年問題の分類と、青年を取り巻く環境の役割と責任を考証してみました。

では、実際に私たちが住む相模原の実態はどのようになっているのでしょうか。

過去との対比・また、違う地域との対比に基づき客観的に検証していきます。

 

第一節  相模原市内の凶悪犯少年数の推移と実態

 

 【資料:2】にある通り、殺人・強盗・強姦・放火の凶悪犯罪は、少年総数との対比で見る限り、間違いなく増加傾向にある事が明確に理解できると思います。

また、平成2年・7年までは全国平均と同等の数値を示しておりますが(0.01%)、平成11年に至っては急増し、全国平均の2倍、神奈川県との対比でも30%以上も多い事がわかりました。

我がまち相模原の青年が引き起こす凶悪犯罪は増加しているのです。しかも、近年急激に増えてきています。

 

 

【資料:2】 青少年の犯罪発生件数の推移(青少年総数:凶悪犯少年数

地域

年号・科目

平成2年

平成7年

平成11年

相模原市

相模原市 凶悪犯罪数

4

0

15

相模原市少年総人口

60,498

47,706

40,214

総人口に占める少年犯罪の割合

0.01%

0.00%

0.04%

神奈川県

神奈川県 凶悪犯罪数

85

114

161

神奈川県少年総人口

793,967

649,324

565,328

総人口に占める少年犯罪の割合

0.01%

0.02%

0.03%

全国

全国 凶悪犯罪数

1,078

1,291

2,237

全国少年総人口

12,007,087

9,557,958

9,097,023

少年総人口に占める少年犯罪の割合

0.01%

0.01%

0.02%

参照

:平成2年・7年・11年国勢調査報告「人口」

 

※凶悪犯罪・・・強盗・強姦・放火・殺人

 

:警察庁刊行 「犯罪」平成2年・7年・11年度版

※少年・・・・・・・14歳から20歳未満の男女

 

:神奈川県警相模原警察署少年犯罪統計

 

青年問題協議委員会 調べ

 

:相模原市 企画部情報システム課統計室

 

 

 

第二節  相模原市内の少年犯数の推移と実態

 

 いわゆる軽微な犯罪までも含んだ少年犯罪数ですが、これも増加傾向にあると同時に、全国平均値を上回っております。【資料:3】

やはりここでも、平成2年の統計までは全国の発生件数の割合よりも、また、神奈川県内の発生割合よりも低く推移していたにもかかわらず、平成7年の統計から、全国の数値・神奈川県の数値を上回るようになってきています。

これらの統計の組み合わせからも、我がまち相模原で、青年が引き起こす事件が間違いなく増加していると明白に数値が語っています。

 

 

【資料:3】青少年の犯罪発生件数の推移(青少年総数:刑法犯少年数

地域

年号・科目

平成2年

平成7年

平成11年

相模原市

相模原市 刑法犯罪数

585

785

755

相模原市少年総人口

60,498

47,706

40,214

総人口に占める少年犯罪の割合

0.97%

1.65%

1.88%

神奈川県

神奈川県 刑法犯罪数

10,255

9,129

10,052

神奈川県少年総人口

793,967

649,324

565,328

総人口に占める少年犯罪の割合

1.29%

1.41%

1.78%

全国

全国 刑法犯罪数

154,168

126,249

141,721

全国少年総人口

12,007,087

9,557,958

9,097,023